大相撲春場所2日目、横綱 大の里 がまさかの初日から2連敗という苦しいスタートとなった。
相手は新小結 熱海富士。結果は寄り切りで敗戦。これにより、大の里は横綱昇進以降初めての「初日から連敗」という試練に直面することになった。
一体、土俵上で何が起きているのか。
2日目の熱海富士戦を中心に、大の里の相撲を技術・心理・戦術の3つの視点から分析してみたい。
熱海富士の作戦が完全にハマった一番
この日の一番で目立ったのは、熱海富士の徹底した「右四つ戦法」だった。
立ち合いから熱海富士は右四つの形を作り、左上手を引きつける理想の体勢を構築。そのまま一気に前に出て、大の里に引き技を選ばせる展開に持ち込んだ。
最終的に横綱は後退し、寄り切られる形で敗れた。
ここで重要なのは、横綱が自分から引いてしまった点である。
横綱の相撲としては本来、最も避けたい展開だ。
八角理事長の指摘「動けていない」
敗戦後、相撲協会トップの 八角理事長 は次のようにコメントしている。
「動けていない」
この一言は非常に核心を突いている。
現在の大の里の相撲には、横綱昇進前に見られた「前に出る圧力」が明らかに弱い。
さらに本人も取組後、「バラバラだった」と語っていると報じられている。
つまり、
体の動きと相撲の組み立てが一致していない状態なのだ。
大の里が連敗している3つの原因
ここからは、今回の連敗の原因を技術的に分析する。
①立ち合いの圧力低下
大の里の最大の武器は、
立ち合いから一気に押し込むパワーだった。
しかし今場所は、
・立ち合いがやや高い
・踏み込みが浅い
・当たり負けする場面がある
という変化が見られる。
立ち合いの威力が落ちると、相手に形を作られやすくなる。
今回の熱海富士戦もまさにこのパターンだった。
②引き技が増えている
横綱相撲の基本は
前に出て勝つこと
だが今場所の大の里は
引きながら体勢を立て直そうとしている。
これは横綱としてはかなり珍しい。
熱海富士戦でも最後は引いてしまい、そのまま寄り切られている。
この「引き癖」は、不調のサインとしてよく見られる現象だ。
③横綱の重圧
もう一つ見逃せないのが心理面である。
横綱になると
・全力で挑まれる
・研究される
・負けが許されない
という状況になる。
特に若い横綱の場合、
「横綱として負けられない」という意識が強くなりすぎることがある。
その結果
・慎重になる
・迷いが出る
・引き技が増える
という悪循環が生まれる。
大の里が取組後に「バラバラだった」と語った背景には、この精神的な部分も影響している可能性が高い。
実は熱海富士は苦手相手?
今回の結果で注目されるのが、
熱海富士が2場所連続で大の里を破ったという点だ。
つまり偶然ではない。
熱海富士は
・体格がほぼ互角
・右四つ型
・前に出る圧力が強い
という特徴がある。
これは実は
大の里が苦手とするタイプだ。
大の里は圧倒的なパワーで相手を止める相撲が強いが、
同じ重量級で組み合うタイプには苦戦する傾向がある。
その意味では、熱海富士は
横綱の弱点を突く典型的な相手と言える。
横綱大の里はここから立て直せるのか
まだ場所は始まったばかりだ。
大相撲では横綱が序盤に黒星を重ねても、
途中から巻き返すケースは珍しくない。
むしろ重要なのは
相撲の内容が修正されるかどうか
だ。
もし
・立ち合いの圧力が戻る
・前に出る相撲に戻る
・引き技が減る
この3点が改善されれば、
連敗は一時的なものになる可能性が高い。
逆にこのまま迷いが続くようなら、
横綱としてはかなり苦しい場所になるだろう。
まとめ:大の里の連敗は「横綱の試練」
今回の連敗を整理すると、原因は主に次の3つだ。
大の里連敗の理由
立ち合いの圧力低下
引き技が増えた相撲内容
横綱としての心理的プレッシャー
そして相手の熱海富士が
重量級で相性の悪いタイプだったことも影響している。
しかし、横綱の歴史を振り返れば
こうした苦境を乗り越えてこそ真の横綱と言える。
若き横綱大の里が、この試練をどう乗り越えるのか。
春場所はまだ序盤だが、今場所の大きなテーマになりそうだ。

