NHKの連続テレビ小説『風、薫る』。第13週の締めくくりとなる第65話(金曜日・週最終回)が放送されました。
特例で看護修業を始めた看病婦・須永ツヤ(東野絢香)を襲った、あまりにも過酷な現実。そして、病院の近代化という名のもとに切り捨てられる現場の叫びと、指導者としてその重責を背負うりん(見上愛)の葛藤など、涙なしには見られない激動の週末回となりました。さっそく詳しく紐解いていきましょう。
主要キャスト&登場人物の動きと物語への影響
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奥田りん(キャスト:見上愛)
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ツヤの医療ミスに対し「すべての責任は私にある」と医師や院長に直談判。指導力不足に打ちのめされながらも、ツヤに偉大なバトンを託します。
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大家直美(キャスト:上坂樹里)
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看病婦を切り捨てようとする多田院長に対し、激しい口調で反論。また、病室を訪れた若き軍曹・小川吾郎の素顔に触れる一面も。
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須永ツヤ(キャスト:東野絢香)
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投薬を忘れる痛恨のミスにより解雇を言い渡されますが、絶望の淵から「絶対に看護婦になる」と力強く前を向きます。
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土肥ヒデ(キャスト:未発表/劇中生徒)
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看護科一期生の中でも発言が多く存在感のある生徒。ツヤの解雇を巡り、りんの指導力不足に対して真っ直ぐな不満をぶつけます。
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小川吾郎(キャスト:甲斐翔真)
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前話でおはぎを没収され返却された軍人。直美に謝罪に訪れ、若くして「2等軍曹」という高い階級を持つエリートであることが明らかになります。
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島田健次郎 / シマケン(キャスト:佐野晶哉)
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ついにりんに小説『浮世の翼』を読んでもらいますが、その鈍感さに翻弄される切ない幕引きに。りんは自分の事も書かれている事に気づいていません。
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第65話のあらすじ:シマケンの小説、そして重なる無理が招いた痛恨のミス
ある日、お馴染みの団子屋にシマケン(佐野晶哉)がいました。そこへ、直美(上坂樹里)に頼まれて団子を買いにきたりん(見上愛)と娘の環(宮島るか)がやってきます。りんの姿を見たシマケンは、嬉しさを隠すように「一ノ瀬さんは良い人だ」と静かにつぶやきます。店先では、環と元患者の忠(若林時英)が仲良くあやとりをして遊んでいました。
シマケンはついに、書き上げた小説『浮世の翼』をりんに手渡します。そこには、りんとシマケンのこれまでの出会いや、りんをモデルにしたヒロインの姿が克明に描かれていました。しかし、当のりんは「とっても良い小説!」と大感激するものの、それが自分のことであることには全く気づきません。そのあまりの鈍感さに、シマケンの恋心はまたしても切なくすれ違うのでした。
その頃、病院の教室では生徒たちが「大家先生は厳しいし、りん先生はいい人。二人を足して2で割ったら丁度いいのに」と噂話をしていました。それを聞いたツヤ(東野絢香)は、「どっちの先生の教えも、私たちには大事なんだよ」と優しく諭します。
病室では、直美が患者に対し「飲み物なら概ね何をとっても良いですよ」と指導していました。そこへ、前話でおはぎを没収返却された軍人の吾郎(甲斐翔真)が謝罪にやってきます。彼は自らを「2等軍曹・小川吾郎」と名乗りました。以前小日向の偽装の件があったので、「本当ですか? 軍人さんにはちょっと……」と、独り言をこぼします。小川吾郎軍曹は「看護婦は優しいものだと思い込むようにしていました。でも、あなたは優しい人だと思います」と、直美に話します。少し双方の考え方に変化がある様です。
しかしその直後、病棟に緊迫した空気が走ります。ツヤが担当していた術後患者の容態が急激に悪化したのです。 「すみません……すみません……!」 涙を流しながら平謝りするツヤ。生活のために休みを拒み、不眠不休で仕事と勉強を両立させていた彼女は、忙しさのなかでぼんやりとしてしまい、術後の最も重要な「解熱剤の投函(投薬)」を忘れてしまっていたのです。
りんはすぐさま担当医のもとへ行き、「私の指導力不足です」と深く頭を下げます。医師から「患者の危機を招いた以上、上に報告せざるを得ない」と告げられると、りんは「責任はすべて、取締りである私にあります」と必死にツヤを庇います。しかし、事態を重く見た多田院長(筒井道隆)の下した決戦はあまりにも非情でした。 「三浦ツヤは解雇にします」
院長室で「残念ですが解雇です」と正式な通知を受けるツヤ。実は、病院側にはもともと「看病婦の数を徐々に減らし、すべてを正規の看護婦にすげ替えていく」という冷酷な方針(リストラ計画)が裏で進んでおり、今回のミスはその格好の口主にされてしまったのです。直美は「そんなの理不尽です!」と激しく反論しますが、多田院長は「貧困や生活の面倒を見るのは病院の仕事ではない。あなたたちはトレインドナースとして、相応しい仕事をしなさい」と冷たく突き放すのでした。
ツヤの解雇を受け、同席していた。発言の多い生徒の土肥ヒデは「原因は一ノ瀬先生にあるんじゃないか。『間違いには互いに気づけるように』って講義で言っていたのに……」と、りんの指導不足に対して真っ直ぐな不満をぶつけます。
りんはその通り私の指導力不足です。と責任は私にあると言います。
しかし、ツヤの目はまだ死んでいませんでした。「私は諦めません。どうにかして絶対に頑張って、一人前の看護婦になってみせます!」と言い切るツヤ。 そんなツヤの前に、りんは「これは、私たちの恩師(バーンズ先生)が置いていってくれたものです」と、大変貴重な、しかしすべて英語で書かれた看護の教本をツヤに手渡しました。 恩師からの偉大なバトンを抱きしめたツヤは、「改めて頑張ります」と、りんに向かって深く、深く頭を下げ、涙ながらに感謝を伝えるのでした。
第65話の見どころ&興味深いポイント
① 生徒・土肥ヒデが突きつけた「正論」と、りんの試練
クラスを代表するかのように、りんの指導責任を問うた土肥ヒデ。彼女の「お互いに間違いを気づけるようにと言っていたのに」という鋭い指摘は、正看護婦(取締り)になったばかりの一期生たちにとって非常に重い洗礼となりました。単に「いい先生」であるだけでは現場は回らないという、深い教訓を残した名シーンです。
② 直美と小川吾郎(甲斐翔真)の出会いと、多田院長の「冷徹な合理主義」
おはぎの没収返却をきっかけに、直美の前に現れた2等軍曹の小川吾郎。甲斐翔真さんが演じる凛々しいエリート軍人の登場は、今後の時代の足音(戦争の気配)を強く感じさせます。一方で、筒井道隆さん演じる多田院長が放った「貧困は病院の仕事ではない」というセリフは、明治の近代化が持つ「弱者切り捨て」の冷徹な側面を浮き彫りにし、直美の激しい反論を引き出しました。
③ ツヤの涙の解雇と、手渡された「英語の教本」
不眠不休の代償として医療ミスを犯してしまったツヤの涙は、観ているこちらの胸を締め付けました。しかし、ここで終わらないのがツヤの強さです。りんから手渡された、バーンズ先生直伝の「英語の教本」という高すぎるハードルに対し、頭を下げて「這い上がってみせる」と誓った東野絢香さんの魂の演技は、今週のベストシーンとなりました。
第13週全体のまとめ:挫折のなかに灯った「不滅のバトン」
第13週は、正看護婦としての華やかな旅立ちから一転、病院の「組織としての冷酷さ」や「指導者としての責任」という、現実の重みがこれでもかとヒロインたちにのしかかる1週間でした。
ツヤは一度病院を去ることになってしまいましたが、りんから託された教本を胸に、彼女の「看護婦への夢」はここから本当の意味で野生の強さを発揮し始めます。
しかし当時全文英語の専門書を解読するのは、現代とは比べようもないハードルの高さに一人で調べ自分力を高めるという事はとんでもなく高い富士山みたいな大きな山だった事でしょう。
土肥ヒデら生徒たちからの厳しい批判を浴びたりん、そして院長の合理主義に激しい怒りを燃やす直美。傷だらけになったトレインドナース一期生の前に、次回は一体どんな試練が待ち受けているのか?
そして小川吾郎ら軍人たちの存在が、どのように物語を「戦時救護」へと誘っていくのか。第14週からも、絶対に目が離せません!

