NHKの連続テレビ小説『風、薫る』。物語の大きな節目となる第12週「旅立ち」の第59話が放送されました。
一期生たちの卒業式という感動の瞬間から、彼女たちの生みの親である大山捨松(多部未華子)との再会、そして恩師バーンズ先生(エマ・ハワード)が遺した最後のメッセージ。ヒロインたちの「トレインドナース」としての本格的な歩みが始まる、至高のターニングポイントとなった本話を詳しく解説します。
主要キャスト&登場人物の動きと物語への影響
-
奥田りん(キャスト:見上愛)
-
養成所を無事に卒業し、本物の「トレインドナース」としてそれぞれの場所で悩み続ける覚悟を決めます。
-
-
大家直美(キャスト:上坂樹里)
-
りんと同じく卒業を迎え、一ノ瀬家での「仮住まい」という新しい共同生活をスタートさせます。
-
-
大山捨松(キャスト:多部未華子)
-
卒業した二人に「看護とは何か」を問いかけ、プロとして生涯抱え続けるべき哲学を授けます。
-
-
バーンズ(キャスト:エマ・ハワード)
-
独自の熱意で病院側の実習生排除計画を覆し、ナースたちの勤務枠を勝ち取った後、一冊の本を遺して日本を旅立ちます。
-
第59話のあらすじ:涙の卒業式と、恩師が遺した偉大な足跡
ついに、梅岡女学校付属看護婦養成所の一期生たちの卒業式の日がやってきました。一人ずつ修了証書を受け取り、これまでの過酷な実習や努力を思い出して深く感激する生徒たち。しかし、校長の梶原(伊勢志摩)が挨拶をしている最中、生徒たちはどこかそわそわと落ち着きません。そこに、あるはずのバーンズ先生(エマ・ハワード)の姿がなかったからです。
校長の話の途中、何かに気づいた生徒たちは「もしかして?」と式場を後にします。向かった先には、バーンズ先生と東雲ゆき(中井友望)の姿が。二人は、卒業するみんなにどうしても食べさせたいと、異国の味「アップルパイ」を用意していたのです。バーンズ先生は「日本にはオーブンが無いので、少し(本場のものとは)違いますが」と微笑みます。初めて口にするアップルパイの温かい味に、一期生たちは驚きと大きな喜びに包まれ、その後、澄み渡る庭で全員での記念撮影が行われました。
その後、りんと直美の二人は、ナースの道を提示してくれた大山捨松(多部未華子)の男爵家を訪ねていました。二人の様子を見た捨松は「相変わらず仲がよろしいのですね」と目を細めます。そして、これからプロとして働く二人に、こう静かに問いかけました。 「“What is nursing.”――看護とは、何ですか?」
突然の究極の問いに、りんと直美は答えることができません。すると捨松は満足そうに微笑みました。 「Good! 答えられないですね。それでいいのです。それが、看護というものです」 前話で副院長たちが画策していた「梅岡女学校の生徒は受け入れない」という計画は、バーンズ先生が日本の有力者たちに直接声をかけて働きかけたことで見事に覆り、彼女たちは「トレインドナース」として帝都医大病院に正式に勤務することが決まっていました。捨松は「それぞれの場所で、悩み続けて行きましょう」と、二人の背中を押します。
役目を終えたバーンズ先生は、そのまま日本を旅立ちました。彼女が遺していった一冊の本を、りんと直美は一緒にめくります。そこには、指導者である前に「彼女自身も一人の看護婦(ナース)だった」という、戦いと献身の足跡が記されており、二人は改めて恩師の偉大さを知るのです。
物語のラスト、直美は一ノ瀬家での「仮住まい」をスタートさせます。新しい朝が来ると、一ノ瀬家の面々はそれぞれ朝の仕事をこなしていました。そこへ母親の美津(水野美紀)がやってきて、新入りの直美に向かって「直美さんは、水の係ね」と、一ノ瀬家の一員として自然に家事を指示します。直美の新しい、そして温かい共同生活が静かに幕を開けるのでした。
第59話の見どころ&興味深いポイント
① 式典を抜け出して…!アップルパイが繋いだ師弟の絆
お堅い卒業式の途中で主賓の不在に気づき、式場を抜け出してしまう一期生たちの行動力が実に彼女たちらしいです。日本にある道具で工夫して作られたアップルパイは、バーンズ先生が彼女たちに教え込んできた「環境に合わせて最善を尽くす」という看護の精神そのもの。初めての甘い味を噛みしめる彼女たちの笑顔は、これからの激務を支える一生の思い出となったはずです。
② 大山捨松の問い「看護とは何か?」
“答えられないのが看護”という捨松のセリフは、本作の核心を突く名言です。マニュアルや一言の定義では決して縛れない、患者一人ひとりの命と心に寄り添い、悩み続けること自体がプロのナースであるという教えは、りんと直美の生涯の指針となりました。
③ 直美が一ノ瀬家の「家族」になる瞬間
天涯孤独でサバイブしてきた直美が、ついに一ノ瀬家という「本当の家庭の温もり」に迎え入れられるラストシーンが非常に感慨深いです。美津から不器用ながらも「水の係」という役割を当たり前のように与えられたときの、直美の少し照れくさそうな、しかし嬉しそうな表情に胸が熱くなります。
第59話のまとめ:学生時代の終わり、そしてプロとしての「悩める旅立ち」へ
第59話は、サブタイトル「旅立ち」の集大成として、養成所という温かい巣を立ち、それぞれの現場へと散っていく一期生たちの最高の門出が描かれました。
バーンズ先生が有力者を動かして遺してくれた「病院勤務」という切符、そして捨松から授けられた「悩み続ける」という覚悟。ここからは、見習いではなく一人の自立したプロとしての本当の戦いが始まります。
次週第13週からは、いよいよプロのトレインドナースとして病院の現場で働き始めるりんと直美の姿が描かれます。一ノ瀬家での共同生活は仕事にどう活きるのか、そして喜代やしのぶら同期たちのそれぞれの選択の行方は?
新章へと突入する『風、薫る』から、ますます目が離せません!
