連続テレビ小説『風、薫る』の第13週・第65話は、涙なしには見られない激動の結末を迎えました。 不眠不休で看病婦の仕事と看護の勉強を両立させていた三浦ツヤ(東野絢香)が、過労による痛恨の投薬ミスを犯し、多田院長(筒井道隆)から非情な解雇通告を受けてしまったのです。
実家の生活を支えるため「休みを減らしたくない」と語っていたツヤさんにとって、無収入になることは明日からの生計が立ち行かなくなることを意味します。しかし、彼女の目は死んでいませんでした。りん(見上愛)から託された、バーンズ先生遺愛の「すべて英語で書かれた医療専門書」を抱きしめ、「絶対に這い上がって看護婦になる」と誓ったツヤさん。
辞書すら月給(10円)と同等に高額で、学校を出ていない彼女が、一体ここからどうやって収入を得て生き延び、成功を掴み取っていくのか? これまでの劇中の伏線をもとに、ツヤさんが大成功を収める未来のサクセスストーリーを大胆に妄想・考察します!
ステップ①:長屋の「忠」との協力と、下谷松町教会での「夜間内職」
病院を追い出され、住む場所や日々の食事にも困窮するツヤさんを救うのは、第64話で病院に駆け込んできた長屋の忠(若林時英)ではないでしょうか。 忠の紹介で長屋の安い一室に転居したツヤさんは、まず明日の米代を稼ぐため、マッチ箱貼りや仕立て物の「過酷な夜間内職」を始めます。
しかし、普通の内職だけでは、英語の専門書を読み解くための「英和辞書」を買うお金は貯まりません。そこでツヤさんは、卒業生・喜代(菊池亜希子)が所属する下谷松町教会の礼拝堂へと通い始めます。教会であれば、宣教師たちが持ち込んだ貴重な辞書を(ボランティアで教会の清掃や、貧しい子供たちの世話をすることを条件に)貸してもらえるからです。
【ここがツヤの強み!】 昼は内職と教会の手伝い、夜は教会の灯りのもとで辞書をめくり、りんから貰った英語の専門書を、一文字ずつ血を吐くような努力で翻訳していく「猛勉強の暗黒期」がツヤさんの基礎体力を爆発的に高めます。
ステップ②:瑞穂屋主人・清水卯三郎の“新事業(歯科)”との運命的な合流
ツヤさんの運命が大きく反転する最大の鍵は、第63話で多田院長宛てに「身近な医療として、これからは『歯科』が必要だ」という意見書を提出していた、瑞穂屋主人の清水卯三郎(坂東彌十郎)です。
卯三郎は、医療器具の輸入や新しい歯科医院の設立といったビジネスを本格化させますが、西洋の新しい医療(歯科)の知識を持つ人材が日本には圧倒的に不足していました。そんな中、卯三郎は団子屋などを通じて「英語の医療最先端の本を、辞書片手に猛烈に読み解いている、元・成都医大病院の看病婦(ツヤ)」の噂を耳にします。
「これだ!」と直感したビジネスマンの卯三郎は、ツヤさんを「新事業の海外医療文書の翻訳兼、歯科開設の助手」として高給で雇い入れるのです。
ステップ③:民間発の「歯科・口腔ナース」の第一人者としての大成功!
ここからツヤさんの快進撃が始まります。 成都医大病院の看病婦時代に培った「抜群の現場の手際」に加え、血の滲むような努力で身につけた「最先端の英語の医療知識」が、卯三郎のバックアップによって完全な大輪の華を咲かせます。
当時、最先端だったアメリカの歯科看護技術を日本で唯一英語で理解できる存在となったツヤさんは、単なる助手を越えて、「日本初の歯科専門ナース(民間トレインドナース)」としての地位を確立。病院側の「看病婦リストラ(切り捨て)」という理不尽なシステムを見返し、自分の力で「看護婦」という夢を、全く別のルートから掴み取るのです。
やがて、彼女の噂を聞きつけた多田院長や副院長も、卯三郎の歯科事業の成功を無視できなくなり、ツヤさんはかつて自分を追い出した成都医大病院へ、今度は「特別外部講師(あるいは共同事業者)」として、堂々と凱旋を果たすことになるのではないでしょうか。
結び:生徒・土肥ヒデらを見返す、ツヤの不滅のカウンターストライク
ツヤさんがこのルートで大成功を収めたとき、第65話でりんの指導不足を鋭く批判していた生徒の土肥ヒデたちエリート組は、大きな衝撃を受けるはずです。 「学校を出ていないから」「一度失敗してレールを外れたから」とツヤさんを見下していた世間の偏見を、ツヤさんはりんから貰った一冊の教本と、自らの雑草のような執念だけで引っくり返してみせるのです。
ツヤさんが成功した暁に、りんと直美の前に現れ、再び深々と頭を下げて放つセリフはこれしかありません。
「一ノ瀬先生、大家先生。おら、あの理不尽な浮世(現実)に負けねぇで、この本で新しい『翼』を広げることができたじゃ!」
一度の過ちで挫折した人間が、周囲の温かいバトンと、自らの労働によって這い上がるサクセスストーリー。三浦ツヤというキャラクターが持つ本当の輝きは、この「病院の外」での戦いでこそ、最も美しく描かれるに違いありません。彼女のこれからの大逆転劇を、私たちは信じて応援していきましょう!
